商品企画が活用するCRM

商品・サービスを企画するためには

 CRMは営業が使うだけでなく,商品企画(製品企画)部門が使うことも出来ます.
 良い新商品の企画・立案は日々のお客様とのコミュニケーションの中で発見するもの・気づかされるものであることが多いです.
 全く新しい分野で全く既存の事業と違ったことをしようという場合は日々の業務の中でというのは難しいかも知れません.
 ここでは現在の事業に少しでも関係のある商品企画・サービス企画を行う場合のことを想定しています.(それの方が失敗は少ないものです.)

企画とは高所から見下ろしてするものではない

 営業した結果を様々な角度から分析したところで,営業の反省は出来ても新商品の開発は出来ません.
 例えば,お客様が「この機能がなかったので御社の商品を買うのをやめたよ」と言われて,そのままそれを商品化したところで,そのお客様は既に不要ですし,他のお客様には不要で迷惑な機能かも知れません.CRMの集計結果を見れば,このような記述は意外に多いかもしれませんが,この集計結果を見て商品を開発した場合,まず失敗します.

お客様の信頼を勝ち得るためには

 お客様の信頼(ブランド力と言い換えても良いかもしれません.)を得るためには,良い意味で期待を裏切り続ける必要があります.

「思ったよりいいね.」

 この感想を常に持ってもらうことによってしか,信頼は気づけません.
 そして,一度でも信頼を裏切ってしまうと,最初から接触のなかった会社より下に見られてしまうことになります.それだけにブランドというものは怖いものです.

 もちろん,「思ったよりいいね.」という感想を持ち続けてもらうためには日々,商品・サービスの向上に努めていなければならないわけで,そういう姿勢を持った企業には黙っていてもお客さんはついてきます.
 商品を買った時点で基本的にはお客様は味方なのです. なぜかというとその商品をけなすということはその商品を買うという判断をした自分を否定する行為だからです. もちろん,ひどい商品の場合は「だましたな!」と怒り,だまされた自分をあえてさらすことによって精神の安定を取り戻そうとする場合もありますが,できれば自分が選んだ商品は競合の商品よりよくあってほしいというのが一般的な人の感情です. ですからクレーム対応というのは企業にとって重要な業務になるのです.ファンは裏切られた時には無関係の一般人より怖い存在になってしまいます.

 新商品・新サービスは既存のお客様の「信頼」をより積み増すためのチャンスなのです.
 ある程度の信頼が増せば,別のお客様に紹介してくれたり,自然にそれがお客様の間に広まり,ブランド力向上に繋がって行きます.

商品企画のためのツール

 ここまで読んでいただいて,「では,どうやってCRMを商品企画に活用するのか」と疑問に思われた方も多いでしょう.
 次にどのように活用するかについて説明します.簡単なことです.

顧客と直接会話する

 自社営業とお客様とのコミュニケーション履歴を見て,気になるお客様に直接コンタクトをとります.

  従来,CRMがなかった場合はこれが結構大変な作業でした.いつでも話のできる営業を確保していて,必要な時に必要なお客さんを抽出してもらうこと.これは営業にもメリットがなければやってもらえません.ですから,商品企画者には社内でも円滑にコミュニケーションできる能力が必要だったのです.また,全国津々浦々これを行うこともなかなか困難なことです.
 顧客管理システムはこの困難を解決しました.必要な時にいつでも必要なお客様を見つけ出すことができるのです.

 気になるお客様を見つけたら,直接,お客様と話をすることが重要です.何か意見・不満を持っているお客様には話をしていただきましょう.
 何かを意見できるということは「考えている」ということなのです.何も考えていない人に意見や不満は言えません.そのお客様の立ち位置というものがありますので,その意見の全てが全地域のお客様に当てはまるということはあるはずもありませんが,一人の実際に使用したお客様の考え方というものが会話することによってはっきりします.
  考えてみれば分かりますが,開発や商品企画の人間は意外にお客様の近くにはいません.想定した使い方の通りに使っている場合もあれば,全然想定していなかった使い方をしている場合もあるでしょう.
  商品企画者はこれらを販売地域全体に渡って把握することが重要なのです.

商品・サービスには明確なコンセプトを

 会話によって把握したお客様の思いの根底に潜むものを見つけ出すことが商品企画の仕事となります.人は自分の困っている目先のことしか頭にありません.つまり不満や意見というのは氷山の一角のようなものです.
 ですから,そこから本当に必要なものを汲み取る必要があります.これこそが商品企画の一番大事な仕事といっていいでしょう.

 汲み取ることが出来れば,その不満点を解決する商品のコンセプトを作成できます.
 こうして,出来上がった商品・サービス案を持って,またお客様と会話しましょう.

 その際はまた別のお客様に意見を聞くとさらによいでしょう.特にそのコンセプトが受け入れられそうなお客様なのか,そうでないお客様なのかもある程度,CRMに含まれる情報でわかるでしょうから,両方ともに話を聞いて,その反応が想定の範囲内かどうかを確認できれば,ほぼ商品・サービスの企画は終わりです.

顧客管理システムを新商品企画に活かしましょう

 是非,御社にもCRMを導入して,効率よく商品を開発していきましょう.